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社会が見える英単語(1) — woke

人種や価値観などの多様性をもった自由な社会では、異なるものが入り交じることで豊かな文化や革新的な発想が生まれてくる。その反面、異なるものを共存させることの難しさがたびたび問題化する。

西洋とは思想も歴史背景も異なる日本の社会が今後どのように変化していくのかはわからない。が、いかなる形であれ「多様性」が増していくのは避けられないように思う。比較的均質だった、もしくは均質を装っていた社会では直面せずに済んだ問題が、つぎつぎと浮かび上がってくるだろう。

このシリーズでは、多様性にまつわる英語圏のキーワードを取り上げながら、日本ではあまり馴染みのない概念を紹介してみたい。

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woke

【形容詞】ウォーク

社会問題にしっかり意識が向いている状態

wake(=目を覚ます)の過去分詞からきていて、「覚醒している」といった意味。通常なら stay awake になるところを stay woke と言うのは黒人独特の文法。

2008年の Erykah Badu の曲の歌詞が発祥とされており、黒人コミュニティの間で「差別や抑圧に甘んずることなく、社会の不公平に対して目を見開いて警戒しつづけよう」といった意味で stay woke というフレーズが使われはじめた。丸腰の黒人が市民や警察に射殺される事件が相次いだ2014年前後から広く知られるようになり、意味も徐々に拡大。今では人種問題にとどまらず、LGBTや女性問題などさまざまな社会的不当も含め、はっきりと問題意識をもっている人を指して「誰々は woke だ」などと言うようになった。

「彼は woke だ」と言ったときに、「彼は cool だ」、すなわち「彼はイケている」というニュアンスが含まれる点に注目したい。「リベラルだ」や「社会に関心がある」などの表現ではとても表せない、カッコよさの承認があるのである。若者の間で、政治に関心がある=クール という風潮になったのも、この woke というワードが一役買っているかもしれない。

黒人カルチャーから発生した woke が、結局白人マジョリティーに乗っとられる形になることの皮肉さを指摘する人もいる。そういった問題構造を敏感に察知することもまた、woke の標榜するところである。

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