問いを立てるアイデアワークショップ / プログレUX
自分が所属しているセオ商事では、サービス設計や新規事業を考える際に、合わせてアイデアワークショップを依頼されることが度々あります。
今回は「問いを立てる」という、哲学対話の手法を取り入れた新しいアイデアワークショップの切り口を紹介します。
これまでのアイデアワークショップの流れ
その前に、これまで弊社が行ってきた一般的なアイデアワークショップの流れを説明します。
1日がかりのものから2時間ほどで終了するミニワークショップまで、さまざまな形態で行うことがあるのですが、いずれも次のようなメニューを組み合わせて実施しています。
1. アイスブレイク
まずは参加者の緊張を解くためのアイスブレイク。参加者の人となりや、どのような考えをする人なのか知るための質問を用意して答えてもらったり、簡単な自己紹介をしてもらいます。
2. マインドマップの作成
次に、テーマに対して組み合わせるキーワードをできるだけ多く出すようにします。車だったら "自動運転"、"シェア" といった具合です。
この際、マインドマップやマンダラートといった手法を使います。「新しいアイデアは、既存のアイデアの組み合わせ」という言葉があるのですが、組み合わせるキーワードを増やしてアイデアの可能性を広げましょう。
3. アイデア出し
ここまで来たら、だいぶ頭もほぐれてきているので実際にアイデアを出していきます。最近は、アイデアを紙に書いて発表する方法をよく採用します。会話をしながらアイデアを考えると、人のアイデアを聞くロスができてしまったり、声の大きい人に引きずられてしまうことがあるからです。
また、同じことを考え続けると疲れてしまうので、テーマを変えたり手法を上手く変えながらアイデア出しをしていきます。「8分間に8アイデアを書く」というデザインスプリントのCrazy 8’sという手法を使ったり、架空のプレスリリースの文言を用意して空白を埋めてもらうプレスリリースメソッドなど、いくつかの手法を組み合わせます。
4. アイデアの採用
最後に、こうして出たアイデアをまとめます。弊社の場合、出たアイデアを一旦持ち帰り、企画書を作成することが多いです。
問いを立てて前提を疑ってみる
さて、ここまでが弊社がこれまで行ってきたアイデアワークショップですが、新しく実験的に始めている方法があります。
それは、アイデアを出す前のフェーズから取り組む「問いを立てる」という哲学的なアプローチです。
例えば「新しい車のシェアサービスを考える」というお題であったら、
- なぜシェアをする必要があるのか?
- ユーザが求めている移動手段は車なのか?
といった問いを立てていきます。
それに対してアイデアを出したり、明確な答えを出す必要はなく、ただ思ったままに考えていることを話していきます。その中で、
- 車以外の移動手段はあるのか?
という新しい問いが生まれたら、それについても考えていきます。
まず前提を疑うことで、
「プロジェクトの意義」
「本当に解決したい課題」
「どこまでアイデアを広げて良いか」
を確認することができます。ブレインストーミングによるアイデア出しでは、前提を覆すアイデアはなかなか出しづらい面があります。この手法を実施することで、事前に考察を深めることが可能です。
今回の例で言えば、
- 共同運営する運転手付きのタクシー
- 乗り捨て自由の自転車シェア
というアイデアが正解となるかもしれません。これは「新しい車のシェアサービス」というお題でブレインストーミングするだけでは、すぐに到達できない答えです。
実はこれは「哲学対話」という、グループで問いを考えて話をしながら思索を深める手法をベースにしています。
問いを立てるファシリテーション
この哲学対話のアプローチにおいては、ファシリテーターが参加者を「良い問い」へ誘導することが重要です。
「なぜシェアサービスが流行っているのか?」という問いで一般論に終始してしまいそうになったら、ファシリテーターが「シェアサービスで提供して欲しいものと欲しくないものの違いは何か?」と問いを変えていくことで、よりシェアサービスの実態が浮かび上がります。
「良い問いを見つける」ことは、新しいモノを生み出す際にとても大事です。TwitterやFacebookは、きっと「新しいコミュニケーションのあり方とは?」といった問いからが生まれたと考えています。
ぜひアイデア出しをする際に、問いを立ててみてください。
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