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ネガティブハーモニーのWhite Christmas

何事も表と裏があって、表から"裏側"を想像するのはなかなか興味深いことなのだけど、音楽も鏡面世界のように裏側の世界を覗く方法があります。

それがネガティブハーモニー。

過去にLydian Chromatic Conceptをテーマにしたシンセアプリなど作ったことがあるのですが、プログレ企業たるもの、やはり新しい音楽理論は押さえておきたいものです。

ということで今日はネガティブハーモニーでクリスマスソングの裏側にせまってみたいと思います。

※ 音楽理論に詳しくない人でも楽しめるように書いてみました。

ネガティブハーモニーとは?

Ernst Levy(1895 - 1981)というスイスの音楽家が考案した音楽技法です。

没後、1985年に出版された"A Theory of Harmony"という本に記載されていたということで、いつくらいにこのコンセプトが考案されたかはすぐに分からないのですが、Jacob CollierのYoutube動画などがきっかけとなり、今年話題となったのは記憶に新しいでしょう。


ネガティブハーモニーをすごく簡単に説明すると

さて、ネガティブハーモニーで曲をどうやって裏側の世界にもっていけるのでしょうか?

プロセス自体はシンプルです。ドレミのド(C)の音を弾くと、倍音構成的に次に出てくる音はソ(G)。曲のキーを決定する際、この2つの音がとても重要なのですが、その間のミ(E)とフラットしたミ(Eb)の間で12音を分割し、重ね合わせた音を入れ替えるとネガティブハーモニーが生まれます。

言葉で説明するとややこしいですが、図にするとこんな感じです。

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White Christmasを反転させる

クリスマスも近いので、みんなが知っているクリスマスソングの冒頭を反転させましょう。Black Christmasの誕生です。

どうでしょう...?

結構かっこいいなと思いつつ「ストレンジャーシングスで裏側の世界に行った時に流れてそう...」みたいな怖さも若干あります。

2小節目の原曲で半音アプローチするところなど、反転するとかなり強烈な響きですね...。プログレッシブな聴感覚を試されます。

ちなみにCメジャースケールをネガティブハーモニーで反転させて並び替えると、面白いことにCマイナースケールが生まれます。ジャズで言うところのサブドミナントマイナー(専門用語 : 同主短調からの引用)的なアプローチなのですが、メロディーも機械的に反転されるのが面白いところです。


コードだけひっくり返してみる

「何事も境界が面白い」という直感から、半分ネガティブハーモニーにしてみたいと思います。

"さすがにメロディーが変わると原曲が分からなくなってしまう"ということもあり、メロディーはそのままにコードだけ反転させ、さらにメロディーとぶつかるところだけコードを調整してみます。

どうでしょう?

個人的には3小節目の響きとか、かなりかっこいいと感じたのですが...。


もっと詳しく知るには?

こちらのfusion guitar bookに、ジャズギタリストの田中裕一さんによる詳しい解説があります。

今回の記事を書く上で、曲を反転させる方法、コードだけ反転させるプロセスなどとても参考になりました。各スケールやコードの対応表もあり、かなり便利なので興味のある方、ぜひ買ってみることをおすすめします。

注釈 : その後、単行本が発売されました(購入しました)2019.12.22

それでは、良いクリスマスを...!

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