イノベーションとクリエイティブでは語れないこと
メリークリスマス!
「プログレッシブについて、"プログレッシブ"の意味をお互い一切共有することなく書く」
というアドベントカレンダー(12月1日からクリスマスまで毎日、グループで投稿するブログの流行りスタイル)を、3人で回すという荒業の最終回になります。おかげさまでプログレッシブなクリスマスを迎えることができました。
最後に、なぜ「プログレッシブ」というテーマで書いてきたのか、紐解いてみたいと思います。
※ ここで「紐解いてみた」というのは、直感で始めたことの言語化がまだうまくできておらず、それを書きながら考えてみるというスタンスだからです。
イノベーションとクリエイティブでは記述できないこと
実はここ数年、会社を独立してから
- イノベーション
- クリエイティブ
というキーワードをそのまま使うことに、ある種の違和感を感じています。
この二つの言葉は主にテクノロジー系の企業やベンチャー界隈、また最近は広告の世界でもよく使われているのですが、「今までにないアイデアで、クオリティ高く新しいモノで社会に変革を生み出す」というようなニュアンスで登場します。
もちろん、仕事として「イノベーションのためにクリエイティブなアイデアを考える」という作業は今でもやっていて、おそらく今後もやっていくでしょう。
ただ、その二つの言葉の指向性から見える未来が、どうにも居心地悪く感じ始めていました。「そんなに変革はポジティブなものなのだろうか?」「解決したい問題は、そんなに単純なのだろうか?」
ヒントになったのは、今年話題となった「中動態の世界 意志と責任の考古学 」という本です。受動態でも能動態でもない中動態という文法で、今まで説明がうまくできなかった人の意思決定を捉えなおすという試みについて書かれています。
この本を手にしたときに、自分も漠然と「InnovativeとCreativeのほかに、もう一つの言葉があるはずだ。なぜなら、それが存在しないのであれば、この違和感を記述できないのだから」と思い始めました。
そのようなことを考えている時に、ピンと来た言葉がProgressiveというキーワードです。当時の私の気持ちを図にしてみました。
Progressiveとは?
もう一つ影響を受けた本といえば、SF小説の「フラットランド」という作品が挙げられます。数学や、多次元を題材にした絵を描いているアーティストの野村さんに紹介してもらいました。これは二次元の世界を描いた作品なのですが、物語の後半で主人公は三次元世界に行き二次元世界を俯瞰します。そこで初めて多くの構造を理解することができます。
自分が生きている次元を超える次元を理解するのは難しいということと、それでもそれ以上の次元を想像するということについて、示唆を与えてくれる本です。
例えば、この絵はなんでしょうか?
あるいは、このように見えるかもしれません。
答えはトーラス型をしているドーナツ(の断面)です。
引用 : Wikipedeia(ドーナツ)より
ドーナツの断面図ではAが見えている人とBが見えている人では、話しが噛み合いません。同様に、世界をイノベーション、クリエイティブの軸だけで見ると、認識できている世界が異なるため、価値観は平面的で分断を産むものになってしまう可能性があります。
世にあるサービスや作品をみたとき
イノベーティブでクリエイティブなアイデアだが、人類の進歩に役立つのだろうか?
と感じるものや
イノベーティブでもクリエイティブでもないが、深く考えさせられる。
と感じるものが存在することに気づきます。イノベーションとクリエイティブでは記述され得ないもう一つの軸、これをProgressive軸と捉えて見ることにしました。
ここで言うProgressiveとは「イノベーションとクリエイティブ以外に、人類を先に進ませること」と定義して、考えてみます。
指向性が拡がる話し
クリエイティブもイノベーションも、ともに指向性の強い言葉です。「より質の高いもの」「より革新的なもの」「よりコスパの良いもの」。Progressiveも辞書を開けば"進歩的"と、とても未来志向の言葉であります。一見、それらの言葉があわさると、指向性がさらに強まることのように感じてしまいます。
しかし、イノベーティブとクリエイティブという軸に、プログレッシブという軸が加わることで
- イノベーティブではないが、進歩的
- クリエイティブではないが、進歩的
を評価できるので、空間的に考えるとクリエイティブ、イノベーションの指向性を弱めることが可能となります。
大事なのはこの3軸のどれか、ないし2軸が伸びていることです。クリエイティブ、イノベーティブの2軸に捕らわれていると見過ごしてしまうことを捉え直せるでしょう。
ミームとしてのプログレ
ここまでで勘の良い人は「Progressive / プログレ / プログレッシブ」と表記揺れしていることに気づくでしょう。「Innovative / イノベーティブ」「Creative / クリエイティブ」も表記揺れしています。
英語が片仮名になると、横文字として別の意味が派生するという話しが、このプログレッシブにまつわる連載の初期に上がりました。
"イノベーション"、"クリエイティブ"にまつわる窮屈なイメージは、この片仮名の表記から生まれていたのかもしれません。
片仮名のプログレッシブには幸い「プログレッシブ・ロック」くらいのイメージしかありません。もちろんプログレッシブ・ロックも良いのですが、このまだあまりイメージのない言葉に色々な意味を見出してみようという試みを行っています。
"カウンターカルチャーでもサブカルチャーでもない、このプログレッシブ・カルチャーの夜明け"
と弊社メンバーのar_tamaさんは表現してくれましたが、この新しい次元がどういうものなのか、探求していきたいと思います。
プログレッシブな日常のはじまり
そのような訳で、株式会社セオ商事の営業日誌を始めたいと思います。noteのマガジン形式で引き続き連載をするのですが、タイトルのイラストをプログレッシブなアルバムジャケットでおなじみ、梅村昇史さんに描いていただきました!
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
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"プログレッシブ" をテーマに、クリスマスまでセオ商事メンバーが代わる代わる何か書いています。
セオ商事のプログレッシブ Advent Calendar 2017
書いた内容は、こちらのマガジンにまとめて行く予定です。フォローする際はこちらをご利用いただけると幸いです。