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「何で稼いでいるんですか?」と言われたときに考えること

「何やってんだろうな(何で稼いでいるんだろうな)」

今ひとつパッとしない気分であることを友達に相談したところ「五月病にもきくかも」と勧められたのが「やくざと家族」という映画。

内容はとてもすばらしく(五月病に効くかどうかということだけはさておき)、冒頭の台詞は覚醒剤を扱ってないのに何で稼いでいるんだ、と主人公につっかかれた昔ながらのやくざの組長である舘ひろしが、ハードボイルドとコミカルさという二つの分水稜の中間にあるコンヴィヴィアルな、舘ひろしのシグネイチャーフェイスともいえる慈愛の表情で返した言葉である。

※ 正しいセリフは「うちはシャブには触らんよ」「じゃあ何やんだよ!」「何やってんだろうな」

(みかじめ料だろうか?)

と考えつつハッとするのは、自分も良く会社に対してこの質問をされることが多いからである。自分の場合は「何で稼いでいるんでしょうね」と頭を掻きながら返すことが多いが、そこに込められているメッセージは、舘ひろしの回答を含めると、いくつかの可能性が考えられそうである。

1. そもそも稼いでいない

無償の奉仕、ボランティア精神で成り立っている事業というのは多くある。また、これから事業化しようとしているが、まだ収益にいたっていないという会社もあるだろう。

2. そもそも稼いでいない(強い意志で)

ある種の美学、倫理観、職業的な要請、個人の信条により、あえてお金をとらないようにしているということもある。

3. 想像しているものと違う稼ぎがある

実は10年前に取得した特許の収益がある。開発会社と思ったら、官公庁案件の中抜きで稼いでいたというようなケースもあるが、倫理的な問題を含まない稼ぎの話を聞くのは、ちょっとしたミステリーを読むように面白い。

4. ビルオーナーである

3の区分に入れるには、違う稼ぎが自明すぎるケース。

5. 事情があって言えない

うしろめたい事情を想像するかもしれないが、決算発表前で言えない、強力な秘密保持契約を結んでいるために言えない、といったようなことはたまにある。

6. 自分でもよく分からない

これは体験談になるが、いくつかの仕事をおこなっていると、よく分からなくなってしまいがちである。その中でも労力と実際の稼ぎが違うと、いよいよ何で稼いでいるか分からなくなってしまうことがある。

7. あえて明言しない立場である

ベンチャーブーム以降、どんなに小さな企業でも自分達のビジネスモデル、ポートフォリオ、中長期目標などをプレゼンするのが当たり前になってきた。その中において「何で稼いでいるか分からない」というのはオルタナティブな状態ではあるが、ある種の立場表明としては有効かもしれない。そのことのメリットとしては「こういう仕事もやっているのかもしれない」と期待を持って、こちらでは想像もしないような仕事を依頼してくれる機会が増えるというのが挙げられる(実際に、どこに依頼すれば良いか分からない仕事をご相談いただく機会が多い)。また会社や事業を「商品化しすぎない」という非上場企業ならではの考え方もあるだろう。

色々と書いてきたが、弊社の立場を表明するとしたら、6の「自分でもよく分からない」が色濃いが、その言い訳を消極的に考えているうちに見い出した7の「あえて明言しない立場である」に近づいてきている印象がある。というのは、いま会社の仕事の内容が大きく変わりつつあり、まだどのような形になるのか分からなく、またこの状態をもう少し続けてみたいと思っているからである。

(最後に補足すると、弊社は稼いでいないわけでは決してなく、今年で5周年になるが、驚くことに順調に売上利益ともに成長しています。この時期において大変ありがたいです...!)

(瀬尾)

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