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ベストアルバム 2018

毎年恒例、セオ商事(というよりごく個人的な)ベストアルバム2018。今年は年末にかけて良いアルバムが次々と出て充実していました。改めて見ると邦楽を良く聴いていたかも?

1. BIGYUKI - Reaching for Chiron

アルバム自体は2017年だけれど、今年観たライブが異次元にかっこよかった。このYoutube動画が一番その様子に近いけれど、実際のライブは4人編成で凄さ5倍増しくらい。マシンビート、人力を超えた先の新しい音像に痺れました。

2. Tendre - NOT IN ALMIGHTY

ライブで観たのだけど、わたせせいぞうの世界を現実化したようなステージングがすごく良かった。シティポップ / AORはある種のケレン味というか、それがないと成立しない音楽だと思うのだけど、演出や語り口含めて素晴らしい。

3. tofubeats - RUN

「寝ても覚めても」という映画が今年一番だったというのもあるけれど、主題歌の曲が本当に良い。あとアルバム通して現代ならではの苛立ちみたいなものを音楽に昇華する様が本当に秀逸。

4. MABUTA - Welcome To This World

アフリカからイギリス経由なジャズ。去年からアフリカ音楽の新しい流れが面白いけれど、現代におけるアフリカのエッセンスとはなんだろうか?と考えさせるような音世界。かっこいいです。

5. Blaxton Cook - No Doubt

ジャズサックス奏者であり、R&Bのシンガーでもあり、ただ内省的でいわゆる男性的な力強さからは距離を置いたところの表現は一貫している。不思議な立ち位置だけれど、もしかしたらこのようなタイプの演奏者がもっと増えるといいなと思わせる逸材。

6. Crush - Cereal

韓国のポップス / R&Bがまた一段とレベルが上がっているけれど、最近初めて知ってオッと思った1曲。良い感じですよね。

7. Nils Frahm - All Melody

ポストクラシカルからもう少しエレクトロ色も出てきて、少しFloating Pointsのような雰囲気もある。サウンドスケープが素晴らしい。

8. Nate Smith - Pocket Change

Nate Smithのソロアルバム(Kinfolk)はとても良かったのだけれど、こちらのソロアルバムは"ドラムソロ"だけのアルバム...!これがまったく飽きないというか発見しかない。あと聴いていると映画バードマンの登場人物になった気分を味わえます(そちらのドラムはアントニオ・サンチェス)

9. ものんくる - Reloading City

年末にかけて一番聴いたかも?ライブもこれまで以上に素晴らしく、また何度も観に行きたいと思わせる内容でした。

10. Louis Cole - Time

ふざけているようなPVはもちろん面白いのだけど、歌詞を読んだら泣かされてしまった一曲。

Things may not work out how you thought
考えた様に物事はうまくいかないかもしれない
Things may not work out how you thought
考えた様に物事はうまくいかないかもしれない
Maybe it is good, maybe it is bad
もしかした良い感じに、もしかしたら悪い感じに
Either way the only truth we have, is
どちらにしろ僕らが知っているただ一つの真実、
Things may not work out how you thought
考えた様に物事はうまくいかないかもしれない

万事塞翁が馬のような歌詞なのだけど、曲を聴くと「考えた様に物事はうまくいかないかもしれない、だけど未来に希望を持って生きていこう」と背中を押されているような曲でした。

以前に「音楽は人の気分をデザインする」と考えたことがあるのだけれど、たしかに音楽を聴いていれば困難なこと、納得のいかないことを乗り越えて明日のことを考えらえれる。なかなか遠く先のことを考えられない世の中だけれど、音楽を聴いている間はすぐそこの悩みが晴れるのかもしれない。幸せというのは結局ふとしたある一瞬にしか現れないと思っていて、それを考えると音楽を楽しめるのは幸運なことなのだなと、この曲を聴きながら思っていました。

(来日公演チケット売り切れで観られず、それはそれで泣いたので再来日してほしい。。)

便宜上10曲にまとめたけれど、そのほかにも今年良く聴いたのは、、

<POPS / R&B 全般>

Yossy Little Noise Weaver - Sun and Rain
とても久々の新譜。すごく良かった!

Benny Sings - City Melody

比較的にゼロ年代から変わらない音の人なのだけど、曲がこれまでで最高に充実。

Mabanua - Blurred
ECMかと思うほど音量が小さいのだけど、ボリュームを上げて聴くと凄い良いバランスで音が鳴っていて、ちょっとした転換点を感じました。アルバム通して良く聴きました。

小袋成彬 - 分離派の夏
エモーションの量が半端ない。ただただ歌の力を感じるのだけど、曲の構成も独特。

Blood Orange - Negro Swan
毎回レベルが高いし、今回も1曲目のベースラインからしてやられてしまった。

The Internet - Hive Mind
独特なオルタナ感はそのまま、前作にくらべ開放感を感じる内容で良かった。

Jamie Isaac - (04:30)Idler
ボサノバの雰囲気もある不思議なR&B。かっこいい。

Nai Br.XX - Wasted Callaway
まさに今年の新譜といったようなエクスペリメンタルR&B

Young Gun Silver Fox - AM Waves
70年代の西海岸AORを今演奏する感じなのだけど、いなたさと良さが絶妙!

Michael Franks - The Music in My Head
いい湯加減のAORとしか言えないのだけど、意外なところで声がアートリンゼイと似ている。

Meshell Ndegeocello  - Ventriloquism
80年代の曲を90年代の心象を通して現在に演奏するみたいな、90年代のリバイバルってもしかしたらこういうことなのかなと考えさせられた一枚。

<HIPHOP>

Anderson Park - Oxnard
フジロックの中継で楽しそうにドラム叩いていたのが印象的。

BIM - The Beam
ランニングしながら良く聴いていました。

Mac Miller - Swimming
Mac Miller聴きながら電車乗ってウトウトしていたら真っ白な服を着たエイミーワインハウス似の人が乗ってきて、一瞬天国に行ったのかと思ってしまうことがあった。

Teng Gangstarr - Icon
インタビューの内容もすごかった。

Saba - CARE FOR ME
ちょっと暗めの内容なのだけど、メロウなところも良くヘビロテ。

<ジャズ>

Mattew Stevens & Walter Smith III - In Common
ちょっと地味目なのだけど、Mattew Stevensが真っ向から4beatジャズを演奏しているのとビブラフォンが個人的な聴きどころでした。

Richard Spaven - Real Time 
これまでで、いちばんRichard Spavenらしさの出た内容。Jordan Rakeiの客演も相変わらず良い。

James Francis - Flight
ジャズ方面からエレクトロ路線に向かったアルバム。

Anomalie - Metropole Part II
昔のAvec Avecのような音世界を生演奏で行うという新機軸。インスタで流行っていたのでパリピ的な印象がある。

Ben Wendel - Seasons
制作の過程が面白く、Youtubeで毎回ゲストを呼んでデュオ演奏したものを編成変えてアルバム化。Ben Wendelの上手さがすごい。

Shai Maestro - The Dream Thief
これはライブ観に行きたかった...。

Miguel Zenon - Yo Soy La Tradicion
ストリングカルテットにサックスのみという、今までありそうでなかった(あるかもしれないけれど)演奏。Miguel Zenon、前作あたりからコンセプトが明確になって演奏も素晴らしい。

John Raymond & Real Feel - Joy Ride
ベースレストリオのサウンド的面白さと、ニューヨークのロック寄りな心象風景を描いた作品。ライブも良かった。

Brad Mehldau - After Bach
Trioも良かったけれど、Trioは前作にくらべて若干肩の力抜いた印象。一転、ソロアルバムはクラシックとジャズの先にあるものを描こうとするゴリゴリの演奏で素晴らしい。

Kip Hanrahan - Crescent Moon Warning
新譜が出てよかった...!相変わらずといえば相変わらずなのだけれど、内容は今回も過去最高に素晴らしくそろそろ来日してほしい。

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