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趣味のユーザ体験を向上させる方法(SF編) / プログレUX

UXデザイナーたるもの、自分のユーザ体験をデザインできないといけないのである。

いや、自分の対人能力を向上させるとかそういうことではなく、単純に「自分の趣味を、より楽しむにはどうすれば良いか?」ということを考えてみたのでした。

ということで、趣味の「SF小説を読む」という体験を自分なりに試行錯誤したことを書いてみます。もちろん、ただ本を読むというのも立派な体験です。しかし、そのまま受け身に楽しむだけでなく、色々な行動と結びつけて世界を広げると、より趣味を深めようというモチベーションが高まります。


想像力を鍛えるためにデザイナーはSFを読もう

ところでなぜSFかというと、ただ単に昔から好きだからという理由以外、特にありません。ただ、SFのSはScienceだけでなく、SpeculativeのSでもあります。スペキュラティブといえば、デザイナーの皆さんにはおなじみのスペキュラティブ・デザイン!

スペキュラティヴ・デザイン 問題解決から、問題提起へ。—未来を思索するためにデザインができること

思弁的に「こうだったら、こうなるかもしれない」という仮説を想像力で現実化する力を養うには、SFがうってつけです。

というわけで以下、私がSF小説を読むために試みたあれやこれを紹介します。


1. コミュニティーを作る / 参加する

もともとSFが好きだったものの、社会人になるとすっかり読む時間がなくなってしまい、気づくと「いつまでも2000年代初頭のテッド・チャンとグレッグ・イーガンの思い出を語る」おじさん状態。

ふと

スマートフォンとかシンギュラリティとか、すっかり世の中の方がSFになってしまって、昔読んでいたSFの現実化感がちょっと薄れてしまった。もう一度、今のSFを読んでみたい。

と思ったのが、きっかけでした。ただ、私はとっても遅読なので、人の助けを借りようと「ハードSF読書会」というグループを作成し、みんなで読むことにしました。

Facebookで人を集めたところ、最終的にとても幅広いメンバーに集まっていただきました。具体的には、人工知能の研究者や編集者、とにかく異常にサイエンス関連に詳しい人、IT社長、国会図書館勤務、アニメ監督、そして現役のSF作家まで!

また、Facebookグループで「SF関連のニュース」「考えたSFネタ」などを気ままにやり取りしています。

コミュニティーに属すると、自分から行動を起こさなくても、外部からインプットや次なる行動のきっかけがもらえるのが、とても良いと思います。


2. アウトプットをしてみる

さてSFの徒となった私は、何かアウトプットをしてみたくなりました。書評サイトへの投稿、同人誌の作成、など考えられますが「時代はPodcastだ」と思って始めたのがこちら。

モジュラーシンセのイベントで、とてもSF的な音がするシンセを見て「これをBGMにSFのPodcastを作ったら面白いだろうな」と思ったのがきっかけでした。

※ ちなみに一緒にPodcastを制作していたar_tamaさんは後の弊社社員。

Podcastという媒体を持つことで「あの人の話しを聞いてみたい」と行動の幅が広がりました。そうした流れで知り合った科学雑誌のニュートンさんと作ったのが、こちらのAndroid Wearアプリ。相対性理論を元に、ウラシマ効果を考慮した星間飛行時代のための腕時計です。

Newton: Interstellar WatchFace


3. 実際に書いてみる

もちろん、SF小説を書くことにも挑戦します。デザインやプログラム、またその他すべての体験がと同じく、「まずやってみる」ことが一番の経験となります。そこで、まずは短編で応募できる星新一賞に応募しました。


落選しました...\(^o^)/


また、ハードSF会に参加していただいている人工知能研究者の三宅さんの提案で、複数メンバーでTwitterに連投してSFを書くという「即興SF」をおこなっています。

個人的に気に入っているエピソードはこちら。

ハードSF読書会 選択肢リレー小説「帰られぬロボットたち」(第三回)


4. イベントに参加し、あわよくば発表する

その三宅さんより「日本SF大会に出ませんか?」と声をかけていただきまして、今年の夏、静岡で開催される「日本SF大会:ドンブラコンLL」に参加しました。

日本SF大会は、有り体に言うとSFファンのお祭りです。コミケのような同人誌のやりとりというより、SFにまつわる企画や講座が会場内で多く開催され、気に入ったものに参加できるという体験型のイベントです。SF界のグッドデザイン賞にあたる星雲賞の授賞式もあります。

世界SF大会に参加したことはあったのですが、日本SF大会は初めてです。しかも、企画側での参加。しかも、2企画に参加...!

<以下、写真でダイジェスト>

企画の一つ「即興SFに挑戦しよう」、手書きで書けるように専用シートを開発しました。間違えて、倍の部数を刷ってしまいました。

もう一つの企画「SFと哲学と人工知能」。これがきっかけで泥縄式に哲学を勉強し始めました。ところでこの図、面白くありませんか、SFファンのみなさん!?

「ちゃんと人が来るかな?」と心配していたら大入り満員で大盛況の即興SF。SF作家の高島雄哉さんにもサポートしていただきました。

「SFと哲学と人工知能」、会場がミニステージと書いてあったので油断して行ったら、めちゃんこ広くて高まる緊張。

無事発表しました。ちなみにメンバーは三宅さん、SF作家のさかき漣さん、編集などに携わっている東雲さんと、私。会場からするどい質問をいただいたのですが、あとでその方がSF研究者の牧眞司さんと知ってビビる一同。

星雲賞を受賞した脅威の新人、草野原々さん(中央)とアフターパーティーでミーハーにも写真をとってもらう私(右)。「最後にして最初のアイドル」は、はちゃめちゃで面白いです。(写真左は「SFと哲学と人工知能」でご一緒したSF作家のさかき漣さん。「エクサスケールの少女」もおすすめです!)


趣味のカスタマージャーニーマップを作る

最後にせっかくなので、カスタマージャーニーマップを作ってみました。

taz8さんのnote記事、プリンターが壊れたので購入 → ◯ で紹介されていたUX Recipeを利用しました。

引き続き、星雲賞を目指します。


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